北アメリカ大陸の石製品
北アメリカの古代美術には精巧な石製品がよく見られます。ミシシッピ川以東で広く出土しているバンナー・ストーンは、投槍器につけるおもりとして使われていました。中央には投槍器の柄を通す孔が開いています。おもりという機能ゆえ重心がブレないよう左右対称に造形されました。形のほか粘板岩の縞模様も美しさを感じさせるポイントです。
アデーナ文化とホープウェル文化では石製パイプが発達しました。パイプ・ストーンという柔らかい石を加工して人物や動物の彫刻を施しました。薄い板の上に動物の立体彫刻を載せたパイプはホープウェル文化独自のものです。ビーバーや鳥、熊、コヨーテ等が写実的に彫られました。動物の背中にタバコの葉を詰め、板に通した穴から煙を出します。
現在のアリゾナ州あたりで興ったホホカム文化は、すぐれた石製品を遺したことで知られています。ヘビやカエルといった動物をモチーフに、立体像を伴う石鉢や浮彫りを施した石皿が作られました。図版の作品は人物が石鉢を抱えるようにして彫られています。
参考文献
- 青柳正規、大貫良夫(編)『世界美術大全集 西洋編 第1巻 先史美術と中南米美術』小学館 1995
